CATIA V5とV6とは?/2つのソフトの違いを簡単解説【3次元CADソフト】
3次元の設計開発・デザインが可能なCADソフトの代表格「CATIA」のライセンスやバージョンは複数ありますが、日本企業でトップシェアを誇りっている「CATIA V5」と2008年にCATIA V5の後継として開発・発表された「CATIA V6」は有名です。
CATIA V5とV6の違いとCATIA V6の特徴を簡単に分かりやすく解説します。
目次
1.CATIAとは?
CATIAとは、ダッソー・システムズ(Dassault Systemes)が開発した3次元(3D)CADソフトウェアの一種です。 デザイン企画、設計から開発や解析、管理などトータルで支援をすることができます。バージョンは、CATIA V1~V4、V5、V6、3DEXPERIENCEが開発されています。
日本では、自動車業界をはじめ、航空宇宙、造船、産業機械、ハイテク、エネルギーなどの幅広い業界や分野において採用されています。
3次元CADは機能により3つに大別されており、CATIAは高機能で高性能あるハイエンドCADに分類されます。
- ハイエンドCAD
高機能で比較的大規模で複雑なものの設計に向いています。
主に自動車や航空機で使用されています。 - ミッドレンジCAD
ハイエンドに比べると機能は少し劣りますが比較的小規模なものの設計に向いています。
主に家電製品で使用されています。 - ローエンドCAD
機能が不十分であり業務としてはあまり使用されていません。
個人ユーザーの趣味などのデザインに使用されています。
ハイエンドCADは高機能ソフトですので無償化が難しく、CATIAの無料・体験版はありません。
【参考記事】
・CATIAとは何?アセンブリ・ドラフティングなどの機能や体験版など基本情報
・卒業後の就職支援制度が整っていて、学習・就職支援の費用が無料で提供されることもあるカレッジはこちら→無料の就職支援CAD講座「lulucadカレッジ」
2.CATIA V5とV6の違いは?
現在、CATIAの中で最も使用されているソフトは「CATIA V5」で、
そのCATIA V5の操作方法と機能を持ちながら新たな特徴を備えたソフトが「CATIA V6」です。
CATIA V5の特徴とCATIA V6の特徴を解説します。
2-1.CATIA V5とは?
CATIA V5は、デザイン企画、設計(組立)、開発、解析、検査、管理などの様々な機能が簡単に行えるトータル支援CADソフトです。 3Dの組立図も簡単にできる上、構造などの検査や解析もでき設計変更も簡単に行えます。さらに実際使用出来るものなのか、問題なく作動するか、耐久性のテストを行うことも可能です。
【参考記事】
・CATIAの使い方/CATIA V5の入手方法から基本操作など徹底解説
2-2.CATIA V6とは?
CATIA V6はCATIA V5の後継として開発され、設計から大規模アセンブリの管理など広域な機能を包含しているハイエンドCADソフトです。
CATIA V5の操作や機能を維持し、新たな機能を提供しています。
CATIA V6により製品を定義するあらゆる分野で高品質のモデリングや組立(アセンブリ)を行い、シミュレーションが可能です。
また、ナレッジ(社内のノウハウ(知識)や設計要件)を活用した設計計画からアセンブリの管理などの機能を包含しています。
出典:ダッソーシステムズ
2-3.CATIA V6とV5の違い
CATIA V6とV5の違いを簡単に説明すると、CATIA V6はCATIA V5機能が持ちながらV6独自の機能や特徴があるためV5より優れていること、そして拡張子が異なる点です。ただし、CATIAデータには互換性がありCATIA V5(V6)データを高速に読取り3Dデータ比較を高精度に実行することが出来ます。
【拡張子】CATIA V5 | *.CATProduct、*.CATPart、*.cgr |
---|---|
CATIA V6 | *.3Dxml |
では、CATIA V5にはないCATIA V6の特徴を解説します。
2-3-1. CATIA V6の特徴
コラボレーション(チャット)
設計者(ユーザー)どうしのやり取りで、ネットワークを通じて同時に画面を確認することができ、情報も共有することが可能です。 これにより、コミュニケーション不足によるミスが少なくなります。またデータの受け渡しなどの時間も短縮できます。
CATIAシステムズ
CATIA V6の特徴の1つのシステムでは、製品の開発プロセスにおいてコンセプトや生産などに対する様々な観点から、モデリングやシミュレーションなどが可能です。
また、RFLPのプロセスをカバーし、生産段階から製品化(消費段階)まで追跡が可能です。
※RFLPとは、要件管理、機能設計、論理設計、物理設計の事です。
出典:ダッソーシステムズ
CATIAシェイプ
シェイプでは、製品機能を保ちつつデザイナーや設計者がイメージする製品(デザイン)を直感的に作成する事が可能です。
サーフェス機能であるスタイリング、サブディビジョン・サーフェス、メカニカル・ファンクショナル・サーフェス、クラスAサーフェスなどで、よりクリエイティブな製品形状を簡単に作成、調整をする事が出来ます。
CATIAメカニカル
メカニカルは、3次元アノテーション、キネマティックス・ツールなどを活用しラフスケッチから成形作業や設計・製造、加工を含む3次元パーツを作成することが可能です。機械製品全体の定義にメカニカルを利用することができ、より早く設計及び設計変更を迅速に行うことが出来るため、生産性を大幅に上げることが可能となります。
出典:ダッソーシステムズ
CATIA EQUIPMENT(イクィップメント)
電気と電子システム、空調設備システムなどの設計を円滑に出来る総合環境が可能で、製品の適合性や構成管理などを確保することが出来ます。これにより品質向上させ、エラーの発生を最小限に抑えることが可能です。
CATIAナレッジ
ナレッジは、エンジニアリングノウハウを定型化することにより製品開発プロセスを早くすることが可能です。 最適化ツール、収集されたノウハウを参照・利用することが出来るため、設計品質の評価を行うことも出来ます。
3.まとめ
CATIA V5は非常に多くの企業に導入されてるソフトで、V6の開発当初はV5からV6へ移行している企業は多くありませんでした。
なぜならV5との互換性に問題が多くみられたからです。またV5の機能だけでも十分満足出来る設計や評価などが可能だということも理由の一つだと思います。
現在では互換性の問題は解消され、かつリアルな環境でデザインの自由性が高くなったことにより使用される分野が一段と広くなってきています。
これから3次元CADを勉強したい方、V5からステップアップしたい方は「CATIA V6」を一度試してみてはいかがでしょうか。CADの初心者の方でもスクールでは様々な講座が提供されていますので、自分に合った学び方が見つかると思います。