三角スケールの使い方を覚えよう!図枠の見方と各縮尺ごとの測り方
設計士やCADオペレーター、不動産営業が必ず1本は持っている「三角スケール」。日常生活ではあまり馴染みのない代物ゆえ「見たことも聞いたこともない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、これから図面を描こうとしている方に向けて、この変わった定規の使い方をお教えします。1/10・1/20・1/30・1/50・1/100・1/150・1/200まで7種類の縮尺ごとに、実際の建築図面を使って図枠の見方と一緒に学んでいきましょう。
目次
1.三角スケールってなに?
三角スケールとは、三角柱の形をした定規のこと。一つの面に対し、2種類の目盛りがついているのが特徴です。
それが3面あるので、これ1本あれば合計6種類の異なる縮尺の図面を測ることができるという、とても便利な定規なのです。
一般的にはマイナーな文房具ですが、図面を扱う仕事をする人たちの間では、通称「サンスケ」「スケール」の名称で親しまれています。
2.三角スケールってどう使えばいいの?
三角スケールの基本的な使い方は、図面に表記されている寸法に合わせて目盛りを当て、その値を測るだけ。
とはいっても、初心者のみなさんは「いったいどうやって測ればいいの?」と思われますよね。
そこで今回は、三角スケールの使い方を、はじめての方にも分かりやすくご説明していきましょう。
3.図面を測る前に~まずは図枠の見方を覚えよう!
三角スケールで図面を測るには、まず最初にその図面がいくつの縮尺で描かれているかを確認しなくてはなりません。
図面の縮尺は、各図面の図枠内に必ず記載されています。
図枠とは、図面の一番外側にある枠のこと。
この図枠の下の方をよく見て見ると、設計者の名前や図面を作成した日付、図面名や物件名など、図面の基本情報が表記されています。
さらに図枠の右下をよく見てみると、「縮尺」と書かれた枠の中に「SCALE=1:20」とあるのを確認できますね。
この「1:20(ニジュウブンノイチ)」という数字が、この図面の縮尺となります。
「1/20」と表記する場合もありますが、どちらも同じ読み方です。実務においては、略して「ニジュウイチ」という呼び方をすることもあります。
縮尺については、以下の記事にある用紙サイズと図面尺度を参考にしておくと、三角スケールの使い方がより理解しやすくなるでしょう。
関連記事:
・【AutoCADの基本作図】用紙サイズと図面尺度・図面範囲設定とクイックセットアップの使い方
4.【縮尺別】三角スケールの見方と使い方を覚えよう!
それではさっそく、実際に三角スケールを使って図面を測ってみましょう。
ここでは1/10~1/200まで、全部で7種類の縮尺で描かれた図面を計測します。
今回使用する三角スケールは、実務でよく使われる一般的な15cmサイズです。
この三角スケールに表記されている縮尺は、以下の6つ。
1/100~1/600まで、全部で6種類の目盛りが表記されていることが分かりますね。
ここからは、実際の図面に目盛りを当てながらいろいろな縮尺を測ります。
まずは1/10の図面から、一緒にチェックしていきましょう。
4-1.【1/10】図面の場合
それではさっそく、1/10で描かれた図面を三角スケールで測っていきます。
1.
図枠内の縮尺が「1/10」であることを確認します。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/100」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は130を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/100の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
5.
この場合、1の目盛りは100となります。
そしてその間が1目盛り10ずつ刻まれているので、目盛り3つ分で30となります。
つまり目盛りの合計は100プラス30となるので、このスケールは正確に130を示していることが分かります。
4-2.【1/20】図面の場合
続いて、1/20で描かれた図面を測ってみましょう。
1.
図枠内の縮尺が「1/20」であることを確認します。
「S=1/20」とは「SCALE=1/20」という意味。つまり、この図面は1/20の縮尺で描かれていますよ、という表記です。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/200」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は910を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/200の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
5.
この場合、5の目盛りは500、10の目盛りは1000となります。
その間が1目盛り100、そして一番細かい目盛りが10ずつ刻まれているので、このスケールは正確に910を示していることが分かります。
4-3.【1/30】図面の場合
次は、1/30で描かれた図面を測ってみましょう。
1.
図枠内の縮尺が「1/30」であることを確認します。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/300」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は1820を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/300の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
5.
この場合、10の目盛りは1000となります。
その間が1目盛り100、そして一番細かい目盛りが20ずつ刻まれているので、このスケールはおよそ1820を示していることが分かります。
4-4.【1/50】図面の場合
今度は、1/50で描かれた図面を測ってみましょう。
1.
図枠内の縮尺が「1/50」であることを確認します。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/500」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は650を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/500の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
5.
この場合も、10の目盛りは1000となります。
その間が1目盛り100、そして一番細かい目盛りが同じく20ずつ刻まれているので、このスケールは正確に650を示していることが分かります。
4-5.【1/100】図面の場合
続いて、1/100で描かれた図面を測ってみましょう。
1.
図枠内の縮尺が「1/100」であることを確認します。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/100」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は3200を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/100の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
5.
この場合、1の目盛りは1000となります。
1目盛りは100、そして中間の目盛りが500となるので、このスケールは正確に3200を示していることが分かります。
4-5.【1/150】図面の場合
さて次は、1/150で描かれた図面を測ります。今回は少し特殊な測り方をするので、よく注意しながら見てくださいね。
1.
図枠内の縮尺が「1/150」であることを確認します。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/300」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は1885を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/300の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
この場合、1/150の図面を1/300の目盛りで測るため、寸法の値に1/2を掛けた値が目盛りの数値となります。
5.
これを踏まえると、1885の場合、1885×1/2=942.5が目盛りの値となるので、920の位置あたりを指していれば正確に示している、ということになります。
このように、寸法線の足(寸法線の両端から下に延びている線のこと)が短い時は、青い点線で示したように寸法補助線を引いてからスケールで測ると計測しやすくなります。
実務においては、1/150の図面を測るときはコピー機で拡大縮小をかけ、1/200か1/100などの測りやすい図面に調整します。
ですので、今回ように1/300のスケールを使って測ることはごくごく稀ですが、いざという時に備えて知っておくと便利です。
4-7.【1/200】図面の場合
さいごは、1/200で描かれた図面を測ってみましょう。
1.
図枠内の縮尺が「1/200」であることを確認します。
「A1-1:200」とは「A1用紙に印刷した時の縮尺が1/200である」と言う意味。その下の「A3-1:400」は「A3用紙に印刷した時の縮尺が1/400である」ということを示しています。このように、図面は用紙の大きさに合わせ、一番見やすい縮尺で印刷します。
2.
手元の三角スケールから、左上に「1/200」と書かれた目盛りを探しましょう。
3.
1.の図面を平らな場所に置き、測りやすそうな寸法をどこか一か所見つけてください。
4.
今回は6200を測ります。
計測する寸法を決めたら、2.で準備した1/200の0(ゼロ)目盛りを寸法値の左端に合わせて当てましょう。
5.
この場合、5の目盛りは5000となります。
その間が1目盛り1000、そして一番細かい目盛りが100となっているので、このスケールは正確に6200を示していることが分かります。
今回は、1/400と1/600の目盛りは使用しませんでしたが、
・1/40の図面を計るとき:1/400の目盛りを使用する
・1/60の図面を計るとき:1/600の目盛りを使用する
というように、図面の縮尺に応じて使い分けてみてください。
5.実際の「スケール感覚」を身に付けよう!
今回は三角スケールを使った寸法の計り方をお伝えすることが目的だったので、図面の単位についての説明は省略しましたが、一般的に図面の単位はmm(ミリ)で表記されています。
このことを踏まえて、今回測った寸法値を振り返ると、以下のようになります。
・【1/10】図面の場合:130 mm
・【1/20】図面の場合:910 mm
・【1/30】図面の場合:1820 mm
・【1/50】図面の場合:650 mm
・【1/100】図面の場合:3200 mm
・【1/150】図面の場合:1885 mm
・【1/200】図面の場合:6200 mm
実際に作図する際もmm(ミリ)単位で描いていくので、普段から慣れておくとより図面が描きやすくなるはずです。
日常生活の中でスケール感覚を身に付けるコツは、小さなメジャーを1つ購入し、肌身離さず常に持ち歩くことです。
そして目に留まったものを、片っ端からで測ってみましょう。ご自分の部屋にあるクッション、マグカップ、ドアなど、測れそうな対象物であればなんでも構いません。
例えば、会社にあるデスクとサイドキャビネット。
メジャーを伸ばしてデスクの横幅を測ってみると、一般的に1000~1400mmであることが分かるはずです。
サイドキャビネットの横幅も、だいたい400mm程度となっているでしょう。
今回測った寸法値に、910mmと1820mmという数字が出てきましたが、これは木造建築において決められた寸法の値です。
慣れている人であれば、910mmと書かれた寸法の図面を見るだけで「これは木造で作られた住宅の図面だな」と、建築の構造までイメージできるようになります。
このように、私たちの身の回りにあるものは、ある程度大きさが決まっています。とはいえ、知識として知ることと実際に体験して知ることは理解度が大きく異なります。
設計図を描くためには、実物をイメージしながら作図する必要があります。
そのためには、身近なものをメジャーで計測し「これはこの位の寸法だ」と感覚で把握できるようにしておきましょう。
そうすると、いざ図面を描く時に寸法を見ただけで実物をリアルにイメージできるようになるはずです。
その逆も然り、目に留まったあらゆるモノの寸法が、そのうち一目でわかるようにもなりますよ。
こうしたスケール感覚を身に着けておくと、3DCADを使った作図をする際にも大変便利です。
今後設計士やインテリアデザイナーを目指す方は、図面を読む練習をしながら同時にスケール感覚を身に付けておくと、将来必ず役立つでしょう。
6.CADの操作を覚えて図面を描いてみよう!
今回は、図枠の見方と三角スケールの使い方についてご説明いたしました。
「はじめて三角スケールと見た」という方も、図面の縮尺と目盛りの読み方さえ分かれば意外と簡単に扱えることがお分かりいただけたでしょうか。
慣れてくると定規感覚で使えるようになるので、これから図面を描こうと思っている方は手元に1本用意しておくと良いでしょう。
最近では、女性向けにカラフルで可愛らしいの三角スケールも販売されています。男性向けにはモノトーンやメタリックなデザインもありますよ。
三角スケールにはいくつかの大きさがありますが、胸ポケットやペンケースに収まる15cmタイプがおすすめです。
ロフトや東急ハンズに行ってみると、たくさんの種類が売られているのでぜひチェックしてみてくださいね。
三角スケールを使って図面が読めるようになったら、今度はCADを操作して実際に作図してみましょう。
CADとは、パソコンで設計を行うための作図を支援するソフトウェアのこと。
図面の作成に特化した「CADソフト」を使えば、DIY家具やインテリアの間取りに必要な設計図も正確に作図することが可能となります。
「CADの使い方はどこで学べるの?」「簡単にできるなら習得してみたい!」と思われた方には、無料で学べるCADスクールがおすすめです。
未経験者の方にも分かりやすく図面の描き方を基礎からレクチャーしてもらえるので、製図の専門知識がない方でも安心して通っていただけます。
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