インタビュー「CAD歴20年。これからも様々角度からCADに関わっていきたい」

インタビュー「CAD歴20年。これからも様々角度からCADに関わっていきたい」

CADの仕事20年のベテラン現役CADスクールの講師でもあるユミコさん(仮名)に、CADの仕事に就いて20年、どんなキャリアを築かれたか、CADオペレーター、CADデザイナーの魅力についてお伺いしました。

ユミコさん(仮名)プロフィール

新卒からCADの仕事をして20年間。アルバイトで、新卒CADオペレーターとしてスタートし、CADデザイナーに転身。その後自宅にオフィスを設け独立。現在は今まで培ったキャリアや技術を活かしCADスクールの講師や、CADに関する執筆も行う。


デザイン関係の仕事で手に職を付けたかった

CADの勉強を始めたきっかけを教えてください。

もともとはアパレル業界を志望しており、学生時代は服飾デザインの勉強をしていました。しかし、就職活動が、ちょうど就職氷河期に当たってしまい、アパレル業界の求人が激減していたのです。 就職面接では、新卒の就活生にも「即戦力」や「実務経験」を求める質問が多く、アパレル業界のアルバイト経験すらない私は、散々な結果となりました。

そんなことがずっと続いたので、何か手に職を付けないとだめだ、と思い始めました。 どうせ手に職つけるのであれば、将来会社は会社勤めではなく、独立した働き方をしたい、アパレル業界の次に興味のある業界の仕事で、手に職が付けられる仕事はないかなと考えたときに、インテリア業界でCADという仕事があることを知りました。当時、SOHO(Small Office Home Office)という自宅をオフィスにする在宅ワークの働き方が世に出始めた頃でもあったので、「CADオペレーターを目指そう!」と決心しました。

▲目次へ戻る

インターネットが普及されれば、在宅でCADの仕事ができると確信していました

そこからは即行動で、CADスクールに通い始めました。 それと、当時は、インターネットが今ほど普及していなかったので、今後インターネットが生活の一部になる時代が必ず来る、将来インターネットを使って在宅で仕事が出来る時代が来る!という絶対的な確信もありました。 また、裏話ですが、元々アパレル業界を目指していたので、自宅で思う存分CADの仕事をして、その収入でたくさん好きな服を買ってたくさん遊びたい!という目論見もありました 笑

▲目次へ戻る

3. アルバイトのCADオペレーターから、CADデザイナーにキャリアアップ

CADのお仕事経歴を教えてください

CADのキャリアは今現在も含め、約20年続いています。

新卒時の就職難の状況はCADに関しても同じで、求人の数は激減し、アパレルと同じく即戦力や実務を面接で求められました。苦戦する就活状況の中、なんとかアルバイトで、店舗の内装設計やインテリアコーディネイトを行う店舗デザイン会社に就職し、デザイナーアシスタントとして、内装CADオペレーター職に就きました。 使用ソフトはAutoCADです。CADスクールで勉強していたので、CADソフトの操作は出来るものの、図面を読み解く力が全くなかったので、実務レベルのCAD操作、建築の基礎知識、作図方法まで一から徹底的に学びました。先輩デザイナーの指示のもと、トレース案件を数多くこなしていくうちに、5か月後にデザイナー候補のCADオペレーターとして契約社員になれました。 最初は先輩デザイナーについて現場を回るようになりました。徐々に小さな案件の提案から任され、最終的にはデザイナーとして内装設計のプランニングやカラーコーディネイトまでまで出来るようになりました。通常業務に加えて、チームリーダーの補助や、新人育成指導まで任されるようになり、やり甲斐がありましたね。

▲目次へ戻る

4. 勤務実績が評価され、念願のSOHO(在宅勤務)に!

1年後に勤務実績が評価されて、正社員契約のお話を頂きました。ただ、CADを習いはじめる前から、いつかSOHOとして在宅勤務したいという、強い思いがあったのでそのことを上司に伝えたところ、正社員ではなく会社専属の外注としての契約を改めて提案して頂け、1年間専属外注として会社勤務しました。その1年後に改めて実績が評価され、今度は同社の委託専属外注として契約し念願のSOHOとして業務を開始することができました。 本業務以外でも、遠隔で作業する際に必要なネットワーク知識、PCの管理方法、ITスキルなど、プラスアルファの知識や技術を十分学ぶことができました。

▲目次へ戻る

5. 2次元CADだけではなく、3次元CADの習得も目指す

3年間SOHOとして働いたのち、3次元CADも習得したいという気持ちが強くなりました。そこで、修行のために再度就職を決意。建設会社にて、3次元CADの図面作成業務を経験しました。職場の後輩に、操作方法を教えているうちに、次の自分の任務はCADの人材を育成することだと、感じ始めました。

▲目次へ戻る

6. スクール講師としてのCAD指導にやり甲斐を感じました

思ったら即行動の性格なので、3次元CADの習得後は、CADスクールの講師として、新たなキャリアを積みました。生徒へのCAD技術指導では、課題CG作品を作成するにあたり、2次元CAD、3次元CADの基本操作の指導、配色やデザインの指導、進行管理役、相談役を担当しました。

ソフト操作方法の質疑対応や、個々の生徒が作りたい作品を上手に表現出来るよう、要望に沿った技術指導を常に心掛けました。生徒がCAD操作に慣れ、何より思う作品が仕上がった時に、感謝の言葉をたくさん頂けたことで、教育、指導という仕事に、強いやり甲斐を感じました。

現在はこれまでの経験・人脈を生かし、個人請負として開業。店舗図面やパース作成以外にもCADに関するライティングや、スクールの講師も請け負っています。

▲目次へ戻る

使用経験のあるCADソフトを教えてください。

AutoCADとVectorworksです。CADソフトとは異なりますが、adobeのIllustratorでも図面を描けます。

▲目次へ戻る

7. 図面に起こしたものが実店舗になったのを最初に見た時は感動しました

CADの仕事で面白いと感じるところはどこですか?

自分のイメージしていたものが実際の形になるところです。何もないまっさらな空間を現調して、実測図を起こし、そこに先方様の要望イメージを元に壁紙や床の色を決め、什器を選定し、図面やパースに起こしたものが実際の店舗になったのを最初に見た時は、感動しました。

CADの仕事にやり甲斐を感じるところはどこですか?

作図においては、美しい躯体図が描けた時、また、良いプランニングが提案出来た時にやり甲斐を感じます。先方様のイメージとこちらの提案がマッチして、お客様に喜ばれて、社内の営業さんが、契約成立した時には、チームワークで会社に貢献出来たことにもやり甲斐を感じました。

▲目次へ戻る

8. CADオペレーターは、操作スキルだけではなく、コミュニケーションスキルも重要

これからのCADオペレーターにはどのようなことが求められると思いますか?

これまではCADのスキルや資格の所持ばかりが求められてきましたが、技術力ばかり求めてきたことで、社内コミュニケーションスキルが足りず、チームとして機能しない、といった、マイナスの要因が増えてしまった傾向がありました。最近はスキルも重要ですが、それ以上に人と繋がるコミュニケーション能力(LINEやチャットソフトなどを使ってうまく連携がとれるか、とか)や人間性、人当たりの良さが求められてきていると感じます。

CADオペレーターの今後の需要についてどう考えますか?

需要は増すと思います。業界にもよりますが、年間の波はあっても極端に減ることや、CAD業務が完全にAIに取って変わるということは、個人の主観ですが、すぐには考えられないです。設計図が存在する限り需要は必ずあると思います。

CADの教育、指導の面から人の役に立てる仕事をしていきたい

今後どのようなキャリアパスを描いていますか?

今後は、これからのCADオペレーターやCADデザイナーの人材教育、指導に力を入れていきたいと考えています。これまでCADの仕事を通じてたくさんの人と出会い、関わって雇用や教育についてすごく考えさせられることが多かったのです。今は私が持っているスキルを必要としてくださる方に技術をシェアすることや、指導するという面から、人の役に立つ仕事をしてきたい!と思っています。 加えて、今までがむしゃらにキャリアを積んできたので、これからは、自分のキャリアを整理する意味で取得する暇がなかった資格を、改めて取ろうかとも考えています。

CAD操作に加え、プラスアルファのスキル取得を目指してみること

CADオペレーターの仕事をしてみたいと考えている方にメッセージをお願いします。

昔に比べて、専門職で働く女性の割合や、女性管理職も格段に増えているように感じます。キャリアのある女性が、ライフスタイルが変わっても働きやすい環境(時短・週3OKなど)を徐々に整え始めている大手ゼネコンも増えてきていると聞きます。女性の生き方も、仕事においても色々な働き方や環境が増えたことで、CADオペレーターとしてのワークスタイルも様々な形態が選べる時代になりました。より自分のライフスタイルにマッチしたCADオペレーターとしての仕事環境を手に入れるためには、CAD操作だけでなく、特定の業界など、何かに特化したスキルや、自分だけにしかないアピールポイントがあるとCADオペレーターとしてのキャリアが築きやすくなると思います。

▲目次へ戻る