CAD オペレーターとは/ 仕事内容・資格取得・給与や年収について
CADオペレーターは、設計士や、デザイナーの指示に従い、CADソフトで正確な図面を作成する仕事です。CADオペレーターが求められる業界は、住宅、土木、設備といった建築系から、機械、電気、アパレルまでと多岐に渡ります。ここでは、CADオペレーターの仕事内容とその魅力、働き方、オススメ資格、求人事情まで説明致します。
目次
1. CADとは?
CADとは設計者のイメージをコンピューターを使って図面化するソフトです。「Computer Aided Design」の略で、日本語に訳すと「コンピューターに支援された設計」という意味になります。ソフトの種類は無料でダウンロードできるものから、高額なものまで様々です。CADの種類は、平面図を作成する2次元CADと、立体的な形状を作成する3次元CADの2種類に分けられます。住宅、土木、設備といった建築系から、機械、電気、アパレルまでとCADは幅広い分野で業務に使われています。
2. CADオペレーターの仕事とは
CADオペレーターは、設計士や、デザイナーの指示に従いながら、CADソフトで正確な図面を作成、または調整、修正する仕事です。ものづくり業界では、CADが多く使用されているため、作成する図面も、建築物や、自動車、航空部品、機械、電子部品、服飾など様々です。図面作成では、正確さが求められます。
2-1. CADオペレーターはこんな方にオススメです
今現在の仕事や生活環境で、次のような悩みを抱えている方には、CADオペレーターという仕事はオススメのキャリアチェンジです。
- 今は一般事務の仕事をしているけど、手に職がつけられる仕事をしたい
- 派遣社員、またはパートタイムとして仕事をしているけど、専門性の高い職種の正社員を目指したい
- 今よりも年収がアップできる職種に就きたい
- 結婚・出産後も働けるスキルを身につけたい
- ライフステージに合わせて、ワークライフバランスを見直したい
2-2. 求められるスキルとは
設計者やデザイナーからの指示を受けて正確かつ、スピーディーに図面作成するための、 CADソフト操作スキルが求められます。また、その指示を正確に理解するためのコミュニケーションスキルも必要です。更にあると良いのは、専門分野の図面を読み解くスキルです。図面読解知識があることで、図面を正確におこし、修正、調整するスキルが高まります。
2-3. CADオペレーターのやりがいとは?
CADオペレーターは「ものづくり」の工程に携わります。よって、担当した図面の製品や、部品が形となった時には、達成感や充実感を得ることが出来ます。また、ものづくりの工程の一部を担うことで、担当している分野の専門的な知識も身につけることが出来ます。CADオペレーターは、CADソフトが操作できることが条件の専門性の高い職種ですので、そのスキルと、実務経験を兼ね揃えることで、仕事が高く評価されやすいです。そのため、プロ意識が芽生え、やりがいを感じて仕事をされる方が多いようです。
2-4. CADオペレーターのキャリアの築き方
CADが必要とされる業界は多岐に渡ります。興味がある分野や、経験値のある業界の図面作成に絞ることで専門性が高まるため、キャリアが築きやすくなります。 例えば、CADオペレーターとして建築CADを経験した後のキャリアの築き方には次のようなものがあります。
- CADオペレーターとして経験を積み、設計士を目指す
- 2級建築士の資格取得にチャレンジする
- デザインを学びインテリアコーデネーターを目指す
CADオペレーションに加え、業務に役立つ知識や、資格を取得することで、キャリアアップの可能性が高まります。
CADオペレーションとあわせて習得する資格には、2級建築士資格の他、インテリアコーディネーター資格もおすすめです。インテリアコーディネーターとは、お客様の要望にあわせた住環境をデザインし、総合的にプロデュースするお仕事です。
CADオペレーターやインテリアコーディネーターはどちらも女性に人気がある職業です。その理由は、こうした専門技術を身に付けると、結婚や出産など女性のライフイベントに合わせて働き方を変えることができるからです。インテリアコーディネーターやインテリアデザイナーなどの職種は「インテリア業界」に属します。インテリア業界では他にもさまざまな働き方があります。インテリア業界とはどんな業界なのか?詳しくは以下の記事をご参照ください。
参考記事:
・業種未経験でも取得できる!インテリアコーディネーター資格とは?
・憧れのインテリア業界で働きたい!家具・インテリア業界の売上最新ランキングから役立つ資格まで徹底解説
3. CADオペレーターの働き方
CADオペレーターの働き方で代表的なものを3つご紹介します。ご自身の経験や、生活スタイルに合わせて働き方が選べるのも、CADオペレーターの魅力の一つです。
3-1. 正社員として働く
ある特定分野に興味がある。または、1つの職場で長く勤務することで、CADのスキルを磨き専門性を高めたい方には、正社員CADオペレーターとしての働き方があります。ただ、近年CADソフトの進化に伴い、設計士のCADオペレーション兼務が見られるようになりました。そのため、正社員として働くことを希望されるのであれば、CADソフト操作方法の習得だけで満足することなく、その分野の知識を深く学ぶ、また設計の勉強をするなど、プラスアルファのスキルを習得しておくと良いでしょう。
3-2. 派遣社員として働く
派遣社員としてのCADオペレーターは、 派遣のお仕事でよく目にする一般事務職と比べると、時給が高く設定されています。これは、CADオペレーターには専門性が求められるからです。 経験を積むことで、人材評価が上がりやすい職種ですので、年齢を重ねても、派遣CADオペレーターとして仕事を探すことは難しくないことが予想できます。採用する側も、CAD経験者を求めることが多いため、ご自身の経験値が時給に反映され、正当な評価で働きやすいワークスタイルです。また、派遣社員であれば、勤務地や、会社の規模を選べるのが大きな特徴です。大企業のプロジェクトの一端をCADオペレーターとして関わることで、やりがいや充実感、達成感を得ることもできます。
3-3. 在宅CADオペレーターとして働く
自らCADの知識を増やし、様々な経験を積んで、設計者の要求に対し的確な仕事が出来るようになると、在宅での勤務や、個人事業主として独立するという選択肢もあります。CADソフトは高価ではありますが、今後のご自身のライフステージに合わせて独立することが理想であるならば、CADソフトの購入は初期投資として考えてみても良いかもしれません。在宅で仕事ができる環境を整えることで、ご結婚、出産後も、継続してCADの仕事を続けることも可能です。 そのためにも、独立する前は、経験値を積むだけでなく、人脈を広げることを意識しておくと良いでしょう。業務実績と、人脈が兼ね揃うことで、独立後に業務の発注を頂く機会があるかもしれません。
4. CADオペレーターの給与・年収はどれくらい?
媒体検索indeedの2017年6月27日平均給与を独自調査で調べたところ、次の平均年収が算出されました。
平均月収:25万円
計算方法
・正社員:月額提示額×14ヶ月
・派遣社員:時給提示額×8時間×20日
給与や年収は、雇用形態や、経験年数によって異なります。業界の景気によっても差が出ることがあります。CADオペレーターは、ご自身の経験値が給与に直結しやすい職種です。経験値を積んだ後に、独立して在宅勤務する場合は、ご自身で営業をし、プロジェクトを掛け持ちすることで、年収がアップする可能性があります。
5. CADオペレーターのオススメの資格
CADオペレーターになるには、必ずしも資格が必要ということはありませんが、資格を取得することで、ご自身の現在スキルを把握することが出来ます。転職する際のご自身のスキルアピールにも繋がります。女性の方であれば、結婚や、出産育児で仕事のブランクが空いた時も、資格を取得しておくことで、基本的なCAD知識が身に付いていることを証明しやすくなります。CADの資格は、厚生労働省認定のものから、民間資格まで様々ですので、ここではオススメの資格を4つご紹介します。
5-1. CADトレース技能検査
「CADトレース技能検査」は、厚生労働省認定の、公的資格となります。 中央職業能力開発協議会が主催し、試験は機械部門と、建築部門に分かれます。そこから、初級、中級、上級に区分されます。 試験時間内に実際の現場で使用されることを想定する各分野の図面を作成するため、CAD操作に熟知していること、またスピーディーに正確に業務をこなすことが求められます。資格取得に向けた学習を通じて、ご自身のスキルアップを図ることができます。
参考:CADトレース技能検査5-2. CAD利用技術者試験
「CAD利用技術者試験」は、一般社団法人コンピューターソフトウェア協会が主催する民間資格です。 試験は「2次元(2D)」と「3次元(3D)」の2種類になります。そこから、2次元部門では5種類、3次元部門では3種類に区分されます。 CADに関連する知識や理解、様々な図面を作図するトレース技術が出題されます。初心者の方、実務経験者ともに、現在のご自身のスキルを把握する上でも、有用な民間資格です。
参考:CAD利用技術者試験5-3. CAD実務キャリア認定制度
「CAD実務キャリア認定制度」は、CAD検定部会主催する民間資格です。試験の構成は次の通りです。
- 3次元CADトレーサー認定試験
- 3次元CADアドミニストレーター認定試験
- CADアドミニストレーター認定試験
実務経験者から、現在CAD学習中の初心者の方まで対象となっています。
参考:CAD実務キャリア認定制度5-4. 建築CAD検定試験
「建築CAD検定試験」は、一般社団法人 全国建築CAD連盟が主催する民間資格です。建築CADの民間資格としては、受験者数、規模ともに最大級です。准1級・2級・3級・4級の4等級に区分されます。 試験内容は、筆記はなく、実務として使われることが想定される建築設計図面を、CADソフトを使用して一定の時間内で作成することが求められます。
参考:建築CAD検定試験6. CADオペレーター入門学習方法
CADオペレーターという職種に興味はあるけど、何から手を付けたらよいか分からないという方は、まずは、独学でCADのフリーソフトや入門書籍で、CADの仕事について知ることから始めると良いでしょう。興味が湧いてきたら、スクールで学習する、更に独学で勉強するなど、ご自身に合った学習方法を見つけていくことをオススメします。
6-1. 無料CADソフトをインストールしてみる
まずは、CADソフトがどんなものかを知るために、無料2次元CADソフトの代表格とも言える「JW_CAD」をインストールし、CADソフトを操作してみましょう。無料ではありますが、有料ソフト同等の操作が可能で、実際の現場でも使用されているソフトです。インストールには、最低限パソコンとマウス、インターネット接続環境が必要です。
「JW_CAD」のインストールはこちらまた、「DraftSight」という無料CADソフトも近年人気が高まってきています。AutoCADと操作方法が似ており、アップデートを重ねることで、業務に対応できるまでの精度に上がり、安定したソフトへと進化しています。
「DraftSight」のインストールはこちら6-2. 入門書籍で勉強してみる
「JW_CAD」をインストールしたら、入門書籍で基本知識を学んでみましょう。書店や、インターネットで検索をすると、CAD関連書籍が多く見つかります。ここでは先ほどインストールをオススメしたJW-CAD入門編として学習しやすい書籍を3冊ご紹介します。
CADを使って機械や木工や製品の図面をかきたい人のためのJw_cad製図入門
Obra Club (著)
機械、木工、プロダクト製図のCADに興味がある方にオススメの書籍です。建築CADについての説明はありませんので、そこだけご注意ください。
本書は、プロアマ問わず、建築以外の分野、 主に木工や機械、プロダクトの製図でJw_cadを使いたい方のための入門書です。 Jw_cadの基本的な作図操作はもちろん、機械・木工・プロダクトの製図に必要とされる 作図方法(接円・接線・楕円/ハッチング/2.5D/R面取/C面取 寸法補助記号 φ R C/直径寸法/半径寸法/引出線/公差/累進寸法 角度寸法/断面図など)、さらにこの分野で必須となる三面図や アイソメ図などのかき方まで解説します。
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高校生から始めるJw_cad製図超入門
櫻井 良明 (著)
タイトルの通り、高校生でも読解することができるよう、丁寧で分かりやすく、操作方法が説明されています。建築CAD向けの書籍です。
本書は、誰でもJw_cadの基本操作から簡単な建築の平面図法までが習得できるよう、 コンパクトな内容にまとめてあります。 20項目のドリルでJw_cadの基本操作をマスター。 最後にドリルでマスターした操作を使って簡単な平面図が描き上げます。 本書で繰り返し学習し、「Jw_cad」の基礎と基本をしっかり身に付ければ、 あなたもすぐにJw_cadの立派な使い手になれます。
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11コマンドでスラスラ書けるJw_cad (エクスナレッジムック いちばんやさしいCAD入門シリーズ 1)
富田 泰二 (著)
最低限のコマンド数を覚えることで、図面を完成することができる、まさに入門編のバイブル的書籍です。
筆者は、Jw_cadを使いこなす近道は、実際にJw_cadを使って図面を書いてみることだと思っています。 コマンドの細かい設定や、便利ではありますがそれほど使う頻度のないコマンドの使い方を覚えるのは後回しにして、 まず図面を書くための必要最低限のコマンドを覚えて、図面を書いてみることが大切です。
最低限必要のコマンドを使って図面を書くことができるようになれば、そのほかのコマンドにも自然と興味が湧いてきます。 また、すでに使っているコマンドの細かい設定の意味も分かってきます。
本書はそんな、最低限のコマンドを覚えるだけで、まず図面が書けるようになることを目的に、必要な11個の基本コマンドを厳選し、 Jw_cadの設定をなるべく変更することなく図面を書く方法を紹介しています。
出典:amazon
7. CADオペレーター求人市場
ものづくりの仕事が存在する限り、CADオペレーター業務も存在し続けます。最近ではCADソフトを使用する業界も増えたことで、CADソフトの種類も増加しました。また、ものづくり業界だけではなく、企業の総務部など、社内レイアウトや、オフィス移転時に部署のレイアウトをCADで作成するといった業務も見られ、CADソフトを使う職種も多岐に渡ります。よって、CADソフトが使いこなせる人材が必要とされるため、今後求人が減っていくということは考えにくいでしょう。求人側は、即戦力のある人材を求めている傾向があります。また、CADソフトの操作性が近年向上したことで、以前より業務を正確に効率よく回すことができるようになりました。それに伴い求人市場では、作図業務に関わるプラスアルファの業務を求めてくる可能性も出てくるようになりました。
7-1. 未経験OKの求人について
CADオペレーターの求人は、CADソフトを的確に操作できることが最低条件であることが多いです。しかし、求人の中には、CADソフトの操作が可能であれば実務は未経験でもOKというものもあります。そのため未経験者の方は独学や、CADスクールにて、CADソフトの基本操作を習得することで、求人に応募しやすくなります。
未経験の方は、今後ご自身が、どの業界のCADオペレーターを目指すかを考え、CADソフト操作方法のみならず、業界の知識、その業界に特化した図面の読解を学習しておくことで、求人に応募する際にご自身のやる気アピールに繋げることが出来ます。 また、CADが必要とされる業界トレンドの移り変わりスピードも早まっています。どんな技術、ものづくりがトレンドかなど、業界事情にも敏感にアンテナを立てておくと良いでしょう。
8. まとめ
CADオペレーターは、設計士や、デザイナーの指示に従い、設計図や、デザインをCADソフトで正確な図面にする仕事です。正確に図面作成するための、 CADソフト操作スキルと、設計士やデザイナーからの指示を正確に理解するためのコミュニケーションスキルも必要とされます。CADオペレーターは「ものづくり」の工程に携われますので、その物が形となった時、達成感や充実感を得ることが出来ます。ものづくりの仕事が存在する限り、CADソフトを使用したCADオペレーター業務も存在し続けるでしょう。
ライフステージに合わせたワークスタイルを実現したい、専門性の高い仕事をしたい、ものづくり業界に興味がある方にはやりがいのある職種です。 未経験者OKの求人もありますので、CADソフトの操作を習得し、CADオペレーターの仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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