CADオペレーターの将来性と需要|独立は可能?何歳まで働ける?
近年ネット上では、CADオペレーターという職業について「将来性がない」「需要がなくなる」とまことしやかに囁かれています。そんな中「今からCADオペを目指しても無駄なのでは?」「CADオペは何歳まで働けるの?」と不安を抱く方や将来独立して在宅CADオペを目指す女性も増えているのだそう。そこで今回は、今後もCADオペレーターとして生き抜く秘訣を解説。CADの仕事に未来を見出すカギを一緒に見つけていきましょう!
目次
1.CADオペレーターに将来性はある?
結論から言うと、CADオペレーターという仕事の将来性は、向こう20年は必ずあります。 ただし「CADソフトの操作ができるというだけ」というトレースCADオペレーターに対する需要は、今後確実になくなるでしょう。
手書き設計で図面を描いていた時代からCADでの製図に移行しはじめた90年代後半~00年代初めの頃は、CADだけでなくパソコンすら使うことができない設計士の方が大勢いました。
それはちょうど、今のアラフォー世代の方たちが社会人として働き始めた頃のことです。
当時のCADオペレーターと言えば、トレース業務が中心でした。設計者が製図した手描きの図面をCADを使ってデータ化することが主な仕事で「パソコンを使えて、しかもCAD操作もできる」というCADオペレーターは設計業界では引く手あまたの人材でした。
また当時のCADソフトの価格は、ライセンス料が1本数百万円するのが当たり前。
そのうえパソコンも今と違ってCAD同様に高額だったため、よほどの大手企業でない限り1人1台CADの入ったハイスペックのパソコンがあるというわけではありません。一般家庭にも今ほどパソコンが普及していなかったので、パソコンが使えないという方もまだまだ世の中には大勢いました。
そんな時代の環境であったため、ハイスペックパソコンを使いこなしながら自在にCADを操作して図面をデータ化できるというCADオペレーターは、とても貴重な存在だったのです。
そして今では、当時若手だったCADオペレーターたちが設計士やデザイナーとなり、今や企業の中心となって自らCADを使って設計をしています。
現在の設計士やデザイナーたちは、パソコンやCADソフトがまだマニアックで難しいものとされていた黎明期の時代に一から身に付け始めたため、みな知識も技術にも精通した熟達者ばかりです。
そのため、単純に描き写す程度であれば、CADオペに指示を出すよりも自分でやってしまった方が早いと考える設計者も増えたことから、トレース専門のCADオペレーターの仕事は今ではほとんど需要がなくなってしまいました。
以前は、図面のトレースだけを専門に行う正社員のCADオペレーターや在宅CADオペレーターも多数いました。しかしこうした時代の変化に伴い、単純にCADの操作ができて図面を描き写すだけという、トレース専門のCADオペレーターの求人は、もはやほとんど見かけなくなってしまった…というわけです。
したがって、今後もCADオペレーターとして生き抜くための秘訣は、設計ができるようになることです。これから正社員としてCADオペレーターになりたいのであれば、設計者やデザイナーを目指す前提でCADを習得することが、最も将来性があると言えるでしょう。
2.CADオペレーターの需要は今後もある?
このように「ただCADの操作ができるだけ」という正社員CADオペレーターの需要は、今後はほとんど見込みがなくなりますが、派遣社員の場合は話が別です。
設計はとにかく修正業務が多い仕事です。そして短い納期の中で多くの図面を作図していかなくてはならないため、人手不足の企業が多いというのが現実です。
特に1年の内で一番忙しい「繁忙期」と呼ばれる時期には、猫の手も借りたいと願う設計者は世の中に大勢います。
なぜならその時期は、微細な変更や修正業務まで一人で行う時間も余裕もなくなるため、指示通りに図面を描くことができて、決められた意図に従って的確な修正ができるCADオペレーターは、設計士にとってまさに救世主のような存在となるのです。
このように、正社員の設計アシスタントという位置付けでの派遣CADオペレーターは今後も確実に必要とされるため、「ものづくり」の仕事がこの世にある限り、決して需要がなくなることはありません。
そして派遣CADオペレーターに求められるスキルは、CADソフトが操作できることはもちろん、ある程度図面が読めるということは今や必須です。
そしてCADを使った設計補助だけでなく、WordやExcel、PowerPointなどを使いながら事務も兼任できたり、PhotoshopやIllustratorを使いながら画像も扱えるようなマルチタスクで仕事がこなせるCADオペレーターは、どの業界においても今後もっと重宝されていくでしょう。
また近年は3DCADを導入する企業も年々増えています。
今はまだ3DCADが操作できるCADオペレーターは全体的にまだ少数ですが、これからの将来性を見越して考えるのであれば、今のうちに3D機能も扱えるようになっておくと今後将来の需要に備えることもできるはずです。
昔と比べ、今ではCADソフトが安価になり、操作方法も格段に簡略化されました。そのうえパソコンも以前とは比較にならないほど安価で購入できる時代となり、CADソフトもぐっと親しみやすいものとなりました。
それと同時に女性たちにとってもCADソフトはより手が届きやすくもなり、今やWordやExcelの延長のような感覚でCADをやってみたいと考える女性は急増しています。
そして現在のCADオペレーターの位置付けは「設計者の補助業務」です。そのため、設計士が仕事をしやすいように配慮しつつ、サポートを行うという仕事は女性にうってつけの仕事です。
パソコンもCADソフトの操作も以前と比べてずっと簡単になった今、私たち女性にとってCADオペレーターの仕事はこれまで以上に身近で需要のある仕事になったと言えるでしょう。
3.CADオペレーターとして独立して働くことは可能?
近年「在宅CADオペレーター」というワークスタイルに憧れて、会社からの独立を考える女性がとても多いと言われています。
では実際に、将来の選択肢の一つとして、会社から独立して在宅CADオペレータとして食べていくことは可能なのでしょうか?
結論としては、CADオペレーターとして会社から独立することは、決して不可能なことではありません。
ただし、前で述べたように単にCAD操作ができ、既存の図面を修正するだけのCADオペレータースキルでは、間違いなく到底不可能です。
在宅CADオペレーターとして独立するには、求められる分野の設計ができなくてはなりませんし、請負先や勤務先の会社の製図業務にも精通していなくてはなりません。
またそればかりでなく、その会社が「在宅であってもその人に仕事を継続してお願いしたい」と思わせるだけの突出した技術をもっていること、そして「圧倒的に作図スピードが速く、正確で綺麗な図面を描ける」ことが絶対条件です。
現在はさまざまな企業で「テレワーク」という在宅勤務スタイルが徐々に確立されつつありますが、CADオペレーターの場合は、作図前に図面を見ながら双方で入念な打ち合わせを行うことが必須です。
それどころか、メールやチャットだけを使っての短文の簡単なやり取りだけでは、正確な図面情報の伝達ができないため、直接会話をしなくては仕事が成立しない場面がたくさんあります。
それにあわせて同じ仕事をお願いするなら、会社まで出勤し、自分の近くで仕事をしてくれる人に依頼をしたほうが確実にスムーズなはずです。
それでも在宅CADオペレーターにお願いをするということは、「この方に任せれば確実にいい図面を描いてくれる」という絶対的な安心感があるためです。
兎にも角にも、それぐらい相手に思わせるだけの技術がなければ、特に在宅においては仕事は任せてはもらえません。
そしてなおかつ遠隔で仕事を任されるということは、勤務する企業との間にそれ相応の信頼関係がないと確実に成立はしません。
CADオペレーターとして会社から独立して働きはじめるためには、まずはその会社で「この人に任せれば大丈夫」と思われるだけの実績を積んで結果を残し、はじめて継続的に仕事を依頼してもらうことができます。
特に設計図を作るという仕事は、納期を必ず守るということが絶対条件です。
こうした理由から、会社側としても、納期までに確実に正確な図面を上げてくれる方にしか怖くて仕事は出せません。
クラウドソーシングで見つけた在宅CADオペレーターに図面を依頼したはいいが、納期間際になって「やってみたけど、この時間ではここまでしかできませんでした」と言われては大迷惑ですし、そのまま音信不通になってしまったらそれこそ大惨事です。
在宅CADオペレーターの仕事は求人媒体には少なく、コネでもない限りほとんどの場合は無理と言われるのはこういった理由が背景にあります。
ですが逆に、在宅CADオペレーターの求人はなくても、その企業でアルバイトや派遣社員として働いているうちに成果物と仕事への姿勢が評価され、本人が希望するより先に「在宅でやってみないか?」と会社からスカウトされる方もいます。
もちろん正社員でなくても自分の頑張り次第でそのチャンスを掴むことは大いに可能です。
このように「在宅CADオペレ-ター」は、他の在宅ワークと違って、自宅にパソコンとCADソフトがあれば誰でも気軽に始められるという単純な仕事ではありません。
今後CADオペレーターとしてその会社から独立し、在宅CADオペレ-ターとして働きたいのであれば、信頼されるだけの経験を積み、白紙の状態から1枚の図面を設計し、自ら納品まで持っていけるような状態まで、早いうちから計画的にスキルを上げておく必要があるでしょう。
4.CADオペレーターとして働けるのは何歳まで?
将来的にCADオペレーターを目指すことを考えたとき「CADオペレーターは一体何歳まで現役として働けるのか?」と心配する女性が大変多いのだとか。
結論から言えば、女性CADオペレーターは生涯現役で働くことが可能です。特に法律で年齢制限が設けられているわけではないので、ご自分が望むのであれば40代や50代になってもずっと現役CADオペレーターとして働いていくこともできるでしょう。
80年代初頭から手描きの設計に携わり、今もCADを使って30年以上図面を描いているアラ還の女性に話を聞いてみたところ、年齢とともに老眼が進んで視力が低下してくると、細かい図面を読むのが億劫になって辞めてしまうという方も中にはいるようですが、60代半ばになってもフリーランスとして現役でバリバリ設計をしている方もまだまたくさんいらっしゃるそうです。
あるいは長年、設計士やCADオペレーターとして働いたあと、これまでの経験や知識を活かして製図やCADソフトの講師に転身して活躍する方たちもいます。
そして正社員の場合だと、40代~50代ともなると、もはや設計補助のCADオペレーターではなく、自ら設計し、CADオペレーターに指示を出す側のベテラン設計士かベテランデザイナーとして働く方たちばかりです。
一方、派遣社員の場合は、40代~50代の凄腕CADオペレーターさんもたくさんいらっしゃいます。
最近では「エルダー歓迎」と書かれた派遣CADオペレーターの求人も増え、経験豊富な40代~50代の熟練層を積極的に採用する企業も増えています。
また設計士の資格を持っている、あるいは設計までできるCADオペレーターだと60代でも歓迎され、上級CADオペレーターとして高時給で働くことも可能です。
このようにCADを使う仕事というのは、設計士であれCADオペレーターであれ、ライフステージに合わせて働き方を変えながら、自分で辞めることを決めるまではいつまでも現役で働くことができる、非常に魅力的な仕事であるということです。
5.まとめ
ここまでご紹介してきたようにCADオペレーターの仕事は、自分の頑張り次第で好きなように働くことができる、とてもやりがいのある仕事です。
またスキルアップをすればするほど働き方の選択肢が増えるだけでなく、好条件の案件が回ってくるので、スキルがそのまま収入にも反映されやすい仕事でもあります。
これからCADオペレーターを目指す方は、CADの操作がスムーズにできることは最低条件として、目指す分野で求められるプラスアルファのスキルも同時に身に着けておく必要がありますが、CADオペレータ-という仕事の需要は設計の需要がある限り、今後決してなくなることはありません。
そして、常に時代に即したハイレベルの専門知識と技術を保ち続け、マルチに活躍できるCADオペレーターであれば、確実に将来性も高いでしょう。
女性が躍進することが期待されるこれからの時代、手に職をつけて働きながら経済的にも自立したいと考える女性が年々増え始めています。
そうした方々に対し、CADオペレーターという職業は自信を持っておすすめできる選択肢の一つです。
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以下の記事に、実際の仕事や業界の実態、また平均年収や年代ごとの働き方など、さまざまな視点からCADオペレーターという仕事について詳しく解説しています。
これから「手に職」を付けて働きたいと考えている方や、未経験からCADオペレーターを目指す方は是非参考にしてみましょう。
参考記事:
・女性が今「手に職」をつけるべき理由とは?新しい時代の働き方を解説
・【最新】CAD未経験者が有利に就職するには?気になるポイントまとめ
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