未経験でもCADオペレーターになれる!求人の賢い見方と探し方
求人サイトには希望の仕事が見つけやすいよう、さまざまな検索条件が設けられています。そして初めてCADオペレーターの仕事を目指す場合、まずチェックするのは「未経験者可」「未経験者OK」といった項目ではないでしょうか。この仕事は専門スキルが必要なので「未経験歓迎」とあっても圧倒的に経験者が優先して採用されるのも現実ですが、条件さえ見極めれば未経験者でも簡単にCADオペレーターになることができるのです。
目次
1.そもそも「未経験」の定義とは?
「未経験」と言っても、その度合いはさまざま。
どの程度業界経験のある方を「経験者」と呼ぶのかは企業によって異なりますが、一般的な就職・転職においては「業界も職種も全く違う、新しい仕事にチャレンジする方」が「未経験者」というカテゴリに該当します。
また一定の知識や経験を有するキャリア採用の場合、未経験者は次の3つに分類されます。
・業界未経験者
・職種未経験者
・未経験者
その業界の未経験者なのか?該当職種の未経験者なのか?それとも業界も職種もまったくの未経験者なのか?
求人情報を見ながら仕事を探す中で、もし「未経験」というキーワードを見つけたら、「その企業においての『未経験者』とは、上記3つのどれに該当するのか」を、正確に把握する必要があります。
例えばこちら。
- A社:CADの知識についてはある程度あると望ましいが、業界知識は未経験でも可
- B社:同業界での勤務経験があるならば、CADの知識や設計経験は不問
- C社:入社後に社内で一からOJTや研修を行うので、CADの知識も業界知識も一切不問
この3つは同じ「未経験者歓迎」の求人ですが、それぞれの企業が求めている指標は全く異なっていることが分かります。ではこれら各社が求めているのは、一体どんな未経験者像なのでしょうか。
1-1.業界未経験者
業界未経験者とは、異業種への転職を考えている方のこと。
上記のA社がこれに該当します。
例えばすでに機械CADオペレーターとして働いている人が、そのまま建築CADオペレーターとして異業種に転職する場合も「業界未経験者」という扱いになります。
このカテゴリの人たちはCADを使った仕事のやり方はすでに習得しているので、新しい業界の知識や業務フローさえ覚えれば、転職先でも即戦力になると判断されます。
採用側のメリット
新人を育てるよりも手間がかからない
1-2.職種未経験者
職種未経験者とは、同じ業界において異なる職種にチャレンジする方のこと。
上記のB社がこのカテゴリに該当します。
例えば「建設会社で現場監督をやっていた人が、ハウスメーカーでCADオペレーターになる」といった場合も同様です。
この分類に当てはまる方たちは、CADでの作図経験はなくとも、業界知識や建築工法は現場を見て知っているので、CADの操作さえ覚えてしまえば、転職先でも設計士候補としても十分な活躍が期待できる、と判断されます。
採用側のメリット
すでに業界知識があるため、将来的に2つの職種をこなせる人材として期待できる
1-3.未経験者
未経験者とは、業界も職種も全く異なる転職を目指す方のこと。
上記のC社が、この完全な「未経験者」という分類に当てはまります。
求人情報には「未経験可」「未経験歓迎」と書かれていますが、「主夫・主婦歓迎」「学生OK」「フリーターOK」といった特記事項の記載がない限り、学生やフリーターは対象に含まれない場合があります。
もし未経験者対象の求人にエントリーする場合は、求人票の記載内容をよく読み応募するようにしましょう。
採用側のメリット
先入観がないため教えやすく、意欲や基本スキルの高い人材を採用するチャンスが広がる
応募の際は「その企業がどのような理由で、未経験者を採用しようとしているのか?」という意図をしっかりと把握することが大切です。
また「この企業はどのような人材を求めているのか?」という選考ポイントも同時に考えてみると、自己PRすべきポイントが自ずと見えてくるはずです。
したがって企業の募集意図を汲み取ることは、未経験者にとって選考を有利にすすめる第一歩であると言えるでしょう。
2.なぜ企業は未経験者を募集するの?
企業が未経験者を募集する理由は、次のようなケースが挙げられます。
- 人手が不足している
- 自社にはない新しいスキルを持った人材が欲しい
- 若手を採用しリフレッシュを計りたい
- 将来の成長や潜在能力に期待をしたい
- その仕事の経験よりも重要視したい条件が他にある
- 業務内容がニッチであるため、その仕事の経験者が見つかりにくい
他にも、新卒採用の際に採りきれなかった人材を補充したい場合や、仕事内容が特殊なためそもそも経験者が殆どいない…という場合もあるようです。
また未経験というのは、経験者と比べてまっさらな状態で入社することになるので、新しい環境へ順応しやすい傾向も。
そのため、採用する職種で将来的に活躍できそうな地盤があり、なおかつ若手として自社で育成していく価値がある、と企業が判断した場合は 他社のカラーに染まっていない未経験を優先して採用する場合があります。
なぜなら、このような柔軟性がある人を優先すれば、自社での業務のすすめ方や、自社の社風やカラーへ馴染んで貰いやすいという利点があるからです。
また、自社の慣例や先入観にとらわれない斬新な発想力を期待されて、未経験者が優先的に採用されるケースもありますが、こういった場合は、前職の業種において一定の成果を出し、実績を積んでいる人が有利となるでしょう。
CADオペレーターの場合、扱うCADソフトの種類や仕事内容によっては、特殊な知見のある人材が希少価値とされるケースも多々あります。
このような場合は、業界未経験であっても該当CADソフトが扱えるというだけで積極的に採用してもらえるので、未経験者だからといって必ず不利になることは決してありません。
3.未経験者歓迎のCADオペレーター求人はどれくらいある?
ここまでの流れで、未経験であってもCADオペレーターになるチャンスは十分にあるということがお分かりいただけましたね。
では、実際に「未経験者歓迎」という条件を設けているCADオペレーター求人は一体どれくらいあるのでしょうか?ここからは正社員・契約社員、派遣社員、アルバイトと3つの雇用形態別に分けて順に見ていきましょう。
3-1.正社員・契約社員
まず最初は、こちらのデータをご覧ください。
これは転職・求人doda(デューダ)に掲載されている2018年12月現在の求人情報を元に、正社員・契約社員の求人案件を調査した表です。
条件 | 求人件数 |
---|---|
職種未経験歓迎 | 23 |
業種未経験歓迎 | 21 |
職種未経験歓迎 | 11 |
学歴不問 | |
業種未経験歓迎 | 12 |
学歴不問 |
東京都の求人を調べたところ、CADオペレーターの求人総数は合計118件で、うち正社員は106件、契約社員は18件という結果でした。
さらにその中で職種未経験歓迎は23件、業種未経験歓迎は21件という結果から、正社員・契約社員募集の掲載求人のうち約20%が未経験者歓迎の案件であることが分かります。
そして「学歴不問」という条件を加えると、案件数はさらにその半数となりました。
この統計結果のように、CADオペレーター未経験者が正社員雇用を目指すのであれば、異業種から転職する「業界未経験者」よりも、同じ業界で異職種にチャレンジする「職種未経験者」がわずかに有利であると言えるでしょう。
3-2.派遣社員
続いてこちらは、en(エン)派遣に掲載されている2018年12月現在の求人情報を元に、派遣社員の求人案件を調査した表です。
条件 | 求人件数 |
---|---|
未経験OK | 139 |
未経験OK | 5 |
OAスキル不要 | |
未経験OK | 139 |
できればOAスキル不要 | |
未経験OK | 62 |
ミドル・シニア活躍中 | |
できればOAスキル不要 | |
未経験OK | 25 |
ママさん活躍中 | |
できればOAスキル不要 | |
未経験OK | 0 |
在宅 |
関東圏の求人に絞って調査した結果、長期(3ヶ月以上)、短期(3ヶ月以内)、一般派遣、紹介予定派遣を含めたCADオペレーターの求人総数は合計652件でした。
さらにその中で未経験可の求人は139件という結果から、派遣社員募集の掲載求人のうち約20%が未経験者歓迎の案件であることが分かります。
そして未経験かつ「OAスキル不要」という条件を加えると、求人件数は一気に5件まで減ってしまいましたが、「できればOAスキル不要」という条件を付加すると、求人件数は未経験者歓迎と同数に戻りました。
このことからも、CADオペレーターとして未経験から派遣で働くには、WordやExcelやPowerPointといった、標準的なOAスキルは必須であることが分かります。
特に注目すべき点は、ミドル・シニア世代を積極的に採用していることです。
この条件で上がってくる各求人情報を見てみると「60代以上歓迎」という案件も多数。30代ではまだまだ若手といった印象を受けるくらい、40代や50代の女性を大歓迎としている案件も多くを占めていました。
この統計のようにミドル世代以上の経験者の募集を積極的に行っている企業が多いことからも、CADオペレーターという仕事がいかに長期間現役で働ける職業であるか、お分かりいただけたことでしょう。
3-3.アルバイト
最後は、タウンワークに掲載されている2018年12月現在の求人情報を元に、アルバイトの求人案件を調査した表です。
条件 | 求人件数 |
---|---|
未経験・初心者OK | 249 |
未経験・初心者OK | 25 |
学歴不問 | |
未経験・初心者OK | 7 |
シニア応援・ミドル活躍中 | |
未経験・初心者OK | 16 |
主婦・主夫歓迎 | |
未経験・初心者OK | 33 |
フリーター歓迎 | |
未経験・初心者OK | 0 |
在宅 |
東京都のみを調べた結果、CADオペレーターの求人総数は合計362件という結果でした。
さらにその中で未経験OKは249件という結果から、アルバイト募集の掲載求人のうち約40%が未経験者歓迎の案件であることが分かります。
アルバイトの場合は、派遣社員と比べ「シニア応援・ミドル活躍中」という条件を加えると、一気に7件にまで求人数が減少しているのが特徴です。
一方、「フリーター歓迎」という条件を加えると、「主婦・主夫歓迎」よりも求人数がアップすることから、他の雇用形態に比べて、1週間のシフトに多く入ることができるフレッシュな若手か、20代の学生を積極的に採用していることが分かります。
そして掲載求人のうち4割が未経験OKとしていることから、就職するチャンスは正社員や派遣社員求人の約2倍の確率となっているのも特筆すべきポイントです。
したがって未経験からCADオペレーターを目指すのであれば、学生や20代前半のうちからアルバイト経験を積んでおくと将来の選択肢が広がるということが言えるでしょう。
3-4.年代別に見たCADオペレーターの働き方実例
ここまでご紹介した雇用形態別の統計結果から、CADオペレーターとしての働き方の例を、以下の年代別にまとめてみました。
- 学生~20代前半 未経験からアルバイトとして実務経験を積む
- 20代~30代 未経験から正社員・契約社員・派遣社員として働き実務経験を積む
- 30代~40代 実務経験者として正社員・派遣社員・在宅ワーカー・フリーランスとして働く
- 40代~60代 実務経験者として正社員・派遣社員・在宅ワーカー・フリーランスとして働く
未経験の採用率が最も高い20代前半のうちに、アルバイトとして早くから経験を積んでおけば、20代後半から実績次第によって、働き方の選択肢が一気に広がります。
また派遣社員CADオペレーターの平均時給が1600円前後であることからも、たとえ正社員でなかったとしてもそれなりの月給を稼ぐこともできるので、駆け出しのフリーランス設計士やデザイナーが、派遣CADオペレーターを掛け持ちしながら働くケースも多く見られます。
そしてCADオペレーターの働き方は、会社に勤めるだけではなく、実務経験とそのツテさえあれば、在宅ワーカーやフリーランスとして自宅で仕事をすることも可能なので、 一度「手に職」さえ付けてしまえば一生食べていくのに困らない仕事であることもわかります。
このようにCADオペレーターは、未経験者にも門戸が広く開かれ、なおかつ年齢問わずにいつまでも現役で働くことができる大変魅力的な職業である、ということが求人情報からも証明されています。
4.30代未経験でもCADオペレーターを目指すことは可能?
先ほどの求人情報の調査からも、CADオペレーターという仕事は「できるだけ若い20代のうちから働き始めた方が、就業のチャンスがある」ということが分かりました。
では、30代未経験者がCADオペレーターとしてゼロから働き始めるチャンスはあるのでしょうか?
結論から言えば、30代前半であれば未経験でも正社員としてCADオペレーターになることは可能です。
なぜなら2.なぜ企業は未経験者を募集するの?でご説明したように、30代前半であれば伸びしろのある若手として、十分に将来性があると企業が判断するからです。
ただし30代後半になると、未経験からの正社員就職は少し厳しくなるでしょう。
しかし、派遣社員であれば30代未経験者としてCADオペレーターになることは十分に可能です。
ですが20代とは違い、社会人経験もなくOAスキルも一切ないという「まったくの未経験者」の30代では、応募資格に満たないケースが多くなります。
そのため30代で未経験者として一からCADオペレーターを目指すには、最低限「指定のCADソフトの操作ができる」ということを条件とした場合、さらに以下の条件があると非常に有利です。
- 事務職からの転職で、CADの他に事務職を兼任できる
- CADは職種未経験だが、同業界からの転職で業界知識はある
- インテリアコーディネータ-など設計に関する資格がある
とりわけ派遣の場合だと、CADオペレーターとしてただ図面を描くだけでなく、CADの他に事務を兼任する「CAD事務」という仕事があります。
30代未経験の方がゼロからCADオペレーターになるのなら、このポジションを目指すことが、現実的に一番就職を有利にすすめることができるかもしれません。
またCADオペレーターとしての実務経験はなくても、ある程度図面が読めてCADの操作が一通りできる職種未経験であれば、作図スピードを重視する企業でない限り、業界知識も豊富である30代の未経験者を歓迎してくれる職場も多くあるでしょう。
そして30代の場合は、CADに関する資格よりも、設計に関する資格を持っている方が未経験でも有利になる場合があります。中でも特に女性に人気がある資格は、インテリアコーディネーターやキッチンスペシャリストです。
これらの資格は、建物を一から設計する建築士までは目指すつもりはないけれど、部屋の内装やキッチンなどインテリアに関する設計ならやってみたいと考える女性たちにとっては、「手に職」も付けられるうえ、実力次第では独立も目指すことができるので大好評の資格なのです。
今の時代は、建物も新築ではなく、既存の建物をリフォーム&リメイクして新しくするリノベーション物件が主流になっています。そのためこの資格はとても需要が増し、仕事も増えているので今後より需要が高まることが予想されています。
興味のある方は、以下の記事を参考にしてみましょう。
参考記事:
・インテリアコーディネーターになるには?難易度・合格率・独学勉強法
・キッチンスペシャリストは過去問で独学合格可能?難易度・合格率を解説
・女性が今「手に職」をつけるべき理由とは?新しい時代の働き方を解説
5.未経験者でもCADオペレーターになれる!
このように未経験者からCADオペレーターになることは十分に可能ですが「未経験者歓迎」と謳っている求人であっても、すべての未経験の方が採用されるというわけではありません。
そのためこの指標は「実務経験だけではなく、それ以外の要件も考慮したうえで選考を行います」という意味合いだと捉えておけば間違いないでしょう。
「それ以外の要件」とは、応募者の人柄であったり、採用側の会社の雰囲気に合うかどうか、コミュニケーションが円滑に行えるかといった内容なども配慮されるということです。
こうして仕事内容からは一歩離れたそれ以外の条件を加味しながら選考が行われていくわけですが、すべての会社においての応募者の必須条件は「やる気があるかどうか」。
したがって「自分のスキルは経験者と比べてどの程度だろうか」と未経験の範囲を心配するよりも、応募先の企業がどのような人材を求めているのかを的確に把握することが大切です。
そして、それを踏まえたうえで「未経験であってもこれだけやる気があり、業界についても大変興味がある」という熱意をアピールすることが重要となります。
ですが、やる気と熱意さえあれば何とかなる!と安易に考えるのはNGです。
たとえ未経験歓迎とあっても、CADソフトの操作がスムーズにできるように準備しておくだけで確実に就職が有利になりますし、よりやる気と熱意も伝わるはずです。
とはいえ、ゼロからCADを習得するのはなかなか難しいもの。スクールに通えばそれなりに出費も嵩みます。
「なるべくお金をかけずに短期間でCADを身に付けたいな…」と考えている方は、ぜひこの機会に無料のCADスクールに通ってみませんか?
CADの操作方法を無料でレクチャーしてくれるluluCADでは、プロの先生が業界未経験者の方にも基礎から分かりやすくレクチャー。
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学べるCADは、なんと業界トップシェアの「AutoCAD(オートキャド)」。AutoCADの操作できるようになると、CADオペレーターとしての就職先もぐんと広がります。
さらに授業で制作した課題は、そのままポートフォリオとして就活に持参できるので、無駄なく学習できるでしょう。
業界未経験でもCADオペレーターになるチャンスはたくさんあります。自分に合った求人を見つけたらこの記事を参考にエントリーして、新たな世界へ飛び出すチャンスを掴みましょう!
参考記事:
・【最新】CAD未経験者が有利に就職するには?気になるポイントまとめ
・CAD初心者必読!目指せる仕事や資格は?無償CADや学び方など
関連記事:
・CADオペレーターってどんな仕事?設計士との違いや目指し方を解説
・CADオペレーターに向いてる人とは?適正条件と望ましいスキル10個
・CADオペレーターの平均年収は?年齢・働き方・エリア別に徹底比較
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・CADオペレーターの将来性と需要|独立は可能?何歳まで働ける?